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単焦点レンズは捨てました! 〜ズームレンズで画角を変える〜

 

「捨てた」というのはさすがに誇張だけど、単焦点レンズは全て売って手放した。

僕は今まで10種類弱の単焦点レンズを使ってきた。

もちろん同時に持っていたわけではなくて、前のものを売って、売ったお金で次を買う。時には追い銭しながら買って使ってきてしまったわけです。

この間、最後に持っていた単焦点レンズも売り、今は標準ズームの「OLYMPUS M. 12-40mm F2.8」、望遠ズームの「SONY E 55-210mm F4.5-6.3」、パンケーキズームの「PANASONIC G VARIO 12-32mm F3.5-5.6」だけが手元にある。

 

脱・単焦点の理由


(OLYMPUS E-M5 + M.12-40mm F2.8)

 

理由を端的に言えば、今メインで使っているズームレンズ「OLYMPUS M. 12-40mm F2.8」が十分優秀だから。隅々までカッチリ解像する、絞り値に拠る画質の変化もほぼないし、ボケもそこそこ綺麗。

比べれば単焦点の方が画質は良いのだろうけど、このズームを使っている限り「画質を求めて単焦点」という考えは、僕の場合はない。というか失くした。

 

 


(OLYMPUS E-M5 + SUMMILUX 25mm F1.4)

 

F2.8とF1.8の差は、ボケの大きな写真を撮りたい人にとっては大きいだろうけど、僕はパンフォーカスな写真の方をよく撮るので、結局F2.8あればだいたい十分だった。

少なくとも、マイクロフォーサーズの広角〜標準くらいだと、よっぽど寄らない限りF1.8でもボケボケにはできない。中望遠くらい(40mmくらい)までいくと、F2.8でもそこそこはボケる。

あとはF値が小さいと光量を稼げるというのもあるけど、それはまあ暗い場面限定だし、オリンパスカメラの手振れ補正の優秀さを考慮すれば、F2.8でそこまで困ったことはない。

なので、「12-40mmの範囲内だと単焦点レンズは要らないな」と思い始めた。

 

何より、「画角を変えるためにレンズ交換しなくていい」というのは、「画質が良い」のと同じくらい重要なことだと思う。少なくとも僕にとっては「ズーム」できることは「画質」より優先すべきことだと判断して、これからはズームレンズを使うことに決めた。

 

単焦点を使うべき人はどういう人か


(PENTAX K-3 + D FA MACRO 100mm F2.8 WR)

 

僕自身は、「単焦点よりズームの人だ」と自分のことを判断して単焦点レンズを全部売ってしまったわけだけど、じゃあ、どういう人は単焦点レンズを使うべきなんだろうか。

 

撮るもの/撮り方が決まっている人

基本的に、単焦点っていうのは明確に撮るものや、撮り方が決まっている人が使うものなんじゃないか、と最近考えている。単焦点マクロレンズなんかはまさにそういうレンズ。

例えば撮るものは「ポートレート」で、こういうバストショットを背景をボカして撮りたい、というところまで決まっているなら、むしろズームレンズを使う理由がない。

もしくは、風景写真で、こういう場所で、このくらいの幅で移したい、というところまで計画できているなら広角単焦点で、あとはカメラを前後させて調整できるのかもしれない。

そういう人は、少しでも画質の安定した単焦点を使う方がいいんだろうと思ったりする。なにより、撮影の際、時間に猶予があれば、レンズ交換に対してズームの優位性はそこまでないし、じっくり撮るなら単焦点の方がいいかもしれない。

 

ボケ

あと、ボケ量が必要な写真を撮る人。これは明確にスペックの差なので、ズームレンズという選択肢がそもそもなかったりする。(マイクロフォーサーズという選択肢もあまり魅力がないかもしれない。)

とはいえ、シグマが「18-35mm F1.8」「50-100mm F1.8」というAPS-C用のズームレンズを作ったので、これを選ぶという選択肢もある。僕自身、もしボケ写真が撮りたくなったら、このレンズを買うと思う。

でも、F1.4必要とか、フルサイズで使いたいとかであれば、やっぱり単焦点しか選択肢がないので、その場合は必然的に単焦点の人になるだろう。

 

画質

それから、「画質」にこだわりがある人も単焦点の人になると思う。

これは解像度や周辺までちゃんと写るか、というような明確なスペックの部分もあるし、ボケ味や描写、色味の好みというようなある程度主観的な評価の部分もある。そういったモロモロの要素を全部ひっくるめた場合の「画質」のこだわり。

これはスペックもあるけれど、それ以上に好みの問題だったりもするので、論理云々ではなくて、写真をどう楽しんでいるか、という話だと思う。

それから、ズームレンズで同じ画質を求めると値段がバカみたいなことになるから、そこそこ良い単焦点を使っている、という形で単焦点の人になっている場合もあるだろう。ペンタックス時代の僕はほぼコレだった気がする。

 

ラブ

あと、どうしようもなく単焦点が好きな人。

「画質」とカブってくる部分もあるけど、それ以上に「レンズ」というモノに凄くロマンを感じるような、そういうタイプの楽しみ方ですかね。

単焦点を使っている方が良い写真が撮れる(気がする)」というタイプの人もここに属すると思う。制約にパワーや創造力を感じている人。これも単焦点を使ってきた人間として何となく理解できる。

 

ズームの何がいいのか


(PANASONIC GX7MK2 + M.12-40mm F2.8)

 

で、結局、ズームレンズが単焦点より優れている点は何だろうか。

 

僕が写真を撮る時は、撮るものや撮り方は全然決まっていない。どこかに出かけていって、ぶらぶら歩きながら、美しいと思った光景を撮る。

その時に「四角い画面に対して何がどう入るか」という「構成」をかなり重視している。

この「構成」をコントロールできる幅は、圧倒的にズームレンズの方が上。

「レンズ交換すればいい」という意見もあると思うけれど、例えば5mm単位でレンズを用意することなんて現実的に不可能。そんなに細かい調整は重要じゃないかもしれないけど、実際に撮れた写真を選別していると、それくらいの単位で画角を調整していることはよくある。(特に前後左右に動けない場所での撮影とか)

何よりレンズを交換している間に重要な構成要素(車とか陽の光とか)が変化してしまって、狙った構成を失ってしまうこともある。実際、標準の単焦点レンズを付けて撮影している時に、「あ、これは中望遠じゃないと撮れない」と思った矢先に光景が変わってしまう、なんていうことはしょっちゅうある。

そういう意味で、ズームレンズには瞬発力がある。

 

ズームレンズにして失われるものはなんだろうか。

画質は落ちたかもしれないし、ボケ量は減るし、ボケ味も少し汚くなったかもしれない。「味」も失って、写真を見る楽しみの一部が削がれてしまったかもしれない。

でも、僕にとっては、目の前の光景を逃してしまうことの方が大きな問題だった。だから、単焦点はやめてズームレンズを使うことにした。

であれば18−300mmみたいな便利ズームを使うのが筋なのかもしれないけれど、そこはバランスの問題で、僕も「画質なんかどうでもいい」と思っているわけではない。標準ズームくらいが自分に合っているなぁ、と思って、今はM.12-40mm F2.8をメインにしている。

 

FA 77mm limitedの亡霊

結局僕は、長いことペンタックスの「FA 77mm F1.8 limited」の亡霊に取り憑かれていたような気がする。

単焦点は僕を感動させてくれる」と思い、「メインは単焦点でありたい」という気持ちでいろいろなレンズを試してきた。

しかし、正直FA 77mm limitedみたいに感動したレンズはない。

もちろん、どの単焦点レンズを使っていても「やっぱズームより画質いいな〜」とは、思う。でも、それはそれだけで満足できるほどの感動ではないし、それ以上に「これあと10mmズームできたらな」というモヤモヤが残ることがしばしばだった。

 それで、ようやく亡霊を振り払って、「もうズームで行こう!」と決めた。

 

とか言いつつ、「やっぱり単焦点だな」というエントリーを1年後とかに書いていたりするかもしれない。

というのも、これからメインがEマウントに移行していきそうで、APS-Cではまた話が違うかもしれないから。でもまあ、しばらくはズームの人でいると思う。

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